経営方針
2024年6月20日現在
取締役が会社を経営するにあたり、その経営の基礎となる基本方針を掲載しています。配当政策、中長期の経営戦略、対処すべき課題について項目別にご説明いたします。
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は2024年3月期 有価証券報告書 より掲載しております。
1. 経営の基本方針
当社グループは、「投資家主権の確立」を理念とし、「投資家の皆様の資産形成に役立つ」ことを事業目的としております。投資家の皆様の資産形成に役立つために、投資家にとって望ましい投資信託を提供することを目的とするアセットマネジメント事業の拡大と、中立・客観的立場から豊富で偏りのない金融情報を提供し、投資家の皆様の資産形成に役立つことを目指すファイナンシャル・サービス事業の展開により、投資家の皆様の資産形成に真に役立つ、金融を中心とした情報社会に不可欠な企業グループとして成長していきたいと考えております。
2.経営環境への認識
基本的経営環境
2022年11月、政府の新しい資本主義実現会議が決定した「資産所得倍増プラン」では、わが国の家計金融資産の過半を占める現預金を投資に繋げることで、持続的な企業価値向上を図り、その恩恵が資産所得の拡大という形で家計にも好影響を及ぼす「成長と資産所得の好循環」を実現させるとの目標が掲げられております。また、これに連動して政府が進める「資産運用立国実現プラン」においては、当社グループが手掛ける事業でもある、資産運用業・アセットオーナーシップの改革を進めることにより、家計の安定的な資産形成を実現させ、わが国の経済の成長と国民の資産所得の増加に繋げるとの方針が示されております。この「資産運用立国実現プラン」では、家計に向けた具体的な取組みとして、NISAの抜本的拡充・強化(2024年1月スタートの新NISA)の他、一般投資家の立場に立ったアドバイザー機能の拡充の検討や金融経済教育の充実等が挙げられており、これらを実現するために、その実務を担う資産運用業・アセットオーナーシップの改革を進めることが重要であることも指摘されております。
当社グループは、前述のとおり「投資家の皆様の資産形成に役立つために、投資家にとって望ましい投資信託を提供する」アセットマネジメント事業と、「中立・客観的立場から豊富で偏りのない金融情報を提供し、投資家の皆様の資産形成に役立つ」ファイナンシャル・サービス事業を擁しております。このような当社グループの事業内容とその目的は、わが国政府の指針・政策に正しく適合していると考えられ、当社グループが進める事業の背景には、わが国の現状と政府の指針・政策を裏付けとした旺盛な需要が存在すると想定されるため、当社グループの基本的な経営環境は良好であると考えております。
3. 経営戦略
当社グループは、アセットマネジメント事業とファイナンシャル・サービス事業の2つの事業を「車の両輪」として、収益基盤を拡大し、「投資家主権の確立」という理念と、「中立・客観的立場から豊富で偏りのない金融情報を提供し、投資家の皆様の資産形成に役立つこと」という事業目的の達成のために、金融を中心とした情報社会に不可欠な企業グループとしての成長を目指して中長期の事業運営を行っていく所存です。
当社は持株会社として、事業子会社とともに、当社グループの理念や事業目的に適った適切な経営戦略を立案し、その推進を図ってまいります。
4. 優先的に対処すべき課題
当社では、アセットマネジメント事業とファイナンシャル・サービス事業のそれぞれについて、以下のとおり事業運営を行ない、課題に対処しております。
アセットマネジメント事業
当社グループにおいては、グループの売上高および利益に占める割合のうち、投資信託の組成、運用を中心とするアセットマネジメント事業が既に8割を超えておりますが、今後ともこの事業を強化、注力していく分野と認識しております。
アセットマネジメント事業におきましては、子会社であるSBIアセットマネジメント株式会社が、主に個人投資家の皆様向けの商品である公募投資信託と、主として地方金融機関等の機関投資家を対象とする私募投資信託の運営全般を担い、2019年2月に子会社とした米国の資産運用会社Carret Asset Management LLCは海外債券型ファンド等の事業を展開しております。SBIアセットマネジメントにつきましては、2022年8月に同じく当社子会社であったSBIボンド・インベストメント・マネジメント株式会社およびSBI地方創生アセットマネジメント株式会社を合併し、従来からのインデックスファンドを中心とした公募投資信託業務に加え、地域金融機関の自己資金を受託する私募の投資信託業務を行う体制を整え、更に、2023年4月にアクティブファンド・オブ・ファンズ等の運用を行う新生インベストメント・マネジメント株式会社を吸収合併する等、その業容を順次整備、拡大してまいりました。
これらの施策により、当社グループにおける投資信託の種類や範囲が拡大するとともに、当社グループが運用するファンド等の運用残高の合計に関しては、2019年3月末に12,846億円だったものが、2023年3月末には46,928億円となり、更に2024年3月末には59,224億円となるなど、飛躍的な拡大を続けております。
この拡大基調を維持し、加速させるためには、当社の事業推進体制の更なる整備と強化が必要と考えており、内部統制やコンプライアンス等についても体制に見合った強固な基盤を構築する必要があるものと考えております。
ファイナンシャル・サービス事業
当社グループのファイナンシャル・サービス事業はウエルスアドバイザー株式会社を中心に、「中立・客観的立場から豊富で偏りのない金融情報を提供し、投資家の皆様の資産形成に役立つ」ことを目的に事業を推進しておりますが、より多くの一般投資家・消費者の皆様に当社グループの比較・評価情報の意義・内容を理解していただく必要があり、当社グループの客観的な比較・評価情報を入手する機会を増加させる必要があると認識しております。
当社グループにおいては、2023年3月にそれまで設立以来25年間使用していた「モーニングスター」ブランドを売却しましたが、投信評価情報を含むファイナンシャル・サービス事業については、新たに「Wealth Advisor」「ウエルスアドバイザー」のブランドで、引き続き従来同様の商品およびサービスの提供を行っております。現在では、新たに「Wealth Advisor」「ウエルスアドバイザー」のブランドの社会的認知度の向上にも注力いたしました結果、ブランド変更による特段のマイナスの影響はありませんでしたが、今後とも「Wealth Advisor」「ウエルスアドバイザー」のブランドの更なる確立に向けて、ウェブサイトほかの広告価値や提供データの利用価値を高め、業績の向上を図る必要があるものと考えております。
なお、投資信託の販売金融機関が活用する「Wealth Advisor」の提供先は当連結会計年度末で既に全国で526社に達し、大きなシェアを占めるに至っております。今後この分野においては、「ライフプランシミュレーション」、「ロボ・アドバイザー」、「相続シミュレーション」等の販売金融機関のフィデューシャリー・デューティーに資する様々なツールを提供することが重要な課題であり、引き続き販売金融機関と緊密に連携して各種商品、サービスを開発し、その提供に注力する必要があると考えております。また、地域金融機関との連携によるイベントについては、対面型、オンライン型の双方ともニーズが大きいため、これらの効率的な開催についての対応も急務であると考えております。
当社グループでは、これらの課題に適切に対応し、投資家の皆様への時宜にかなった的確な情報提供を行うことで、 投資家の皆様の最適な資産運用に貢献してまいりたいと考えております。引き続きご支援を賜りたく、お願い申し上げます。